第16回 道路面の作法

(H17.9.9)

そろそろ具体的な提案もしていきたいと思います。
まちづくりに欠かせない要素の一つに、「町並み作り」が挙げられます。
非連続ではありますが、題材が浮かんだ時に、「町並みの作法」をテーマにしたシリーズをご紹介したいと思います。
もっとも、今までこのテーマを躊躇してきたのは、悪いお手本が写真でご紹介しにくいことです。

昔から京都の町並みが、世界の人たちから愛されてきた理由は、建物の高さの凸凹と道路面の凸凹が無いという点が挙げられます。
これは、ヨーロッパにおいても、美しい町並みとして評価されている地区の共通点です。

特に、京都は、その道路面のテイストを「格子」調に、屋根のテイストを日本瓦に統一してきたから、なおさら人々から評価されてきました。

ところが昭和40年代ごろから、どのお宅も自家用車を持つようになり、駐車場の問題が起こり始めました。
京都の町中では、駐車場の確保もままならず、新築を機に、セットバックといって、道路面から建物の壁面を奥に下げ、駐車場を確保するようになりました。

悪い例の写真は、あえて紹介しませんが、想像してみてください。
東京などから来られた観光客が、最近の京都の町並みを見てがっくりなさるのは、京町家の減少だけではなく、あまり気がつかないと思いますが、道路面の凸凹化の影響も大きいのです。
最たるものが、マンションのセットバック処理の影響です。

上の写真のお宅もこの写真のお宅も、駐車場を設けるために、建物自体は、セットバックなさっています。
しかし、道路面の作法を守るため、わざわざ壁面を造っていらっしゃいます。
しかも、お約束の「格子」調で!

コストのことを考えれば、割高にはなりますが、住む町の表情を壊したくないという持ち主のまちに対する愛情の気持ちが伝わります。

これを郊外の住宅街に当てはめれば、生垣による道路面の統一であったり、植栽による道路面の統一ということになります。
中に、一軒だけブロック塀の処理がなされていたら、興ざめですよね。

ヨーロッパなどでは、道路面の処理や、道路から見える外壁の処理を、統一する地域ルールを作っているところが多くあります。
世界を代表する観光都市・京都にそれが無いこと自体、私は問題だと思っています。

道路面の処理も、まさに「まちづくりの作法」の一つです!

祇園や嵯峨野など、一部の観光用地区だけをきれいにしても、世界の観光客は、リピート訪問してくれませんよ。