第23回「構造データ偽装事件に思う」

(H17.12.03)

危惧していた事件が起こってしまって、脱力感を感じています。

今から約6年前、2000年1月に「住宅ねっと相談室」を立ち上げました。
丁度、その年の9月に、住宅に関する品質確保を推進する法律(品確法)ができました。

私だけでなく、関係者は、おそらく今回の事件のような業界のモラル低下現象を心配していたのかもしれません。

同時に私は、消費者の方にも問題があると感じていました。
立地と設備(台所やお風呂など)だけで、住宅購入を決めていく風潮は、おそらくここ十数年だけの現象でしょう。
とても危機感を感じていました。

私は、何故か今回の事件の第一報を聞いて、住宅業界だけの問題とは、感じませんでした。

JR西日本の事故原因、三菱自動車のリコール隠し事件、三井物産のディーゼル触媒装置データ捏造事件、アスベスト問題などなど・・・・。

まさに、共通したものを感じています。

それは、日本の組織構造の欠陥であり、一人ひとりの人としての正義より、組織の利益を優先させすぎることに、何も抵抗を感じなくなった、日本人の哀れさです。

まさに、この状態は、戦争時の状態とどこが違うのでしょうか。

バブル経済崩壊後、リストラという波を潜り抜け、「家族を守ること」それは、「勝ち組に入ること」と、本気で思っている大人がどれだけいるでしょう。

企業の価値を、事業の内容よりも、株価あるいは、評価資産で判断するようになってしまったのは、何故でしょう。

人の価値を、収入で判断する風潮を、子供たちに植え付けてしまったのは、いったい誰なのでしょう。

今回の事件をきっかけに、いろんな検査の義務付け案が浮上していますが、日本人の心が変わらなければ、また、他の改革案(介護保険、道路問題など)と同様に、結局骨抜きの法律になってしまうのは、目に見えています。

実際、今ある制度も、一生懸命育てようと努力する人の裏で、自分の企業を守るため、合法?な骨抜き行為をしていることを、知っている人は知っています。

私がこの国で、今一番危惧していることは、「意識のない過失」の多さです。
つまり、供給する方も、求める方も、とても勉強不足だということです。
特に、住宅マーケットは、そう思います。

日本は、今、世界一の長寿少子化国家になろうとしています。
その時に一番必要なのは、「まちづくり」です。

そして、良質な住宅づくりが、まちづくりの成功につながって行きます。

「理想のストック」としての住宅を、一つでも作り始めなければいけない時です。

是非、そのことに気づいてください!