第24回「データ偽装事件を受けての提言」
(H17.12.15)
今回の構造データ偽装事件を受けて、提案したいことがあります。
戦後の復興事業を終え、昭和39年の東京オリンピックから続いた高度成長時代も昭和50年前後に起きた「オイルショック」で、経済は失速しました。
その時、経済回復の伏兵として活躍したのが、マンションブームでした。
その後、バブル経済時代の不動産地上げブームを経て、平成の大不況の経済回復のトップバッターとして期待されたのが、マンション供給でした。
公共工事が冷え込み崩壊寸前の建設業者を救うためにも、政府が音頭とりのリーダーとなって、マンションを開発し、団塊ジュニア層などに大量に供給しました。
税制を下げ、登録免許税を減額し、建築審査の期間短縮のため、制度まで規制緩和しました。
そのおかげで、今まで1ヶ月以上待たされた、審査期間が、最短2週間まで短縮できました。
結果、景気の割には、バブル期でさえ年間供給量5万5000戸だったものが、平成14年度には、9万戸以上にも達し、現在も、8万戸台を維持しています。
ここまでは、良いのですが、政治家や行政の皆さんは、マンションが完全な「青田買い」方式で売られている危険性をどれだけ認識しているのでしょうか。
しかも、工場の生産ラインで製造するのではなく、現場の個別手作業です。
また、容積が大きいことから、まちに与える影響は、決して大きくありません。
購入者に対しても、周辺住民に対しても、もっと気を使いながら大切に作り上げていく建築物ではないでしょうか。
今回の事件をきっかけに、是非、完全なる第三者機関の検査体制を作り上げましょうよ。
また、周辺環境にふさわしい容積か、ふさわしいデザインかをチェックする市民オンブズマン制度をつくりましょうよ。
世界一の長寿国家である日本が、いつまでも、経済優先で必要な制度を犠牲にすることは、卒業しましょうよ。
大手ゼネコンやデベロッパー、ハウスメーカーの経営者の皆さんにお願いです。
是非、検査を子会社や支配関係にある検査会社にさせることは控えてください。
中堅の企業が、大手企業の悪いところだけをまねしたのが、今回の事件です。
政治家の皆さん、政治献金のために、制度の抜け道を用意するのは、そろそろやめてください。
建築や不動産にかかわる専門家の皆さん、住宅や建築物は、野原の中につくる場合を除き、“まち”というジグソーパズルの一片をつくることなのです。
経済面だけでなく、社会的側面からも、ストックとしての建築物を作るための努力を惜しまないでください。
そして、最後に消費者の皆さん、マンションや住宅を、自動車を買うがごとく、気楽に買わないでください。
もっと、足を使って、時間をかけて、目を肥やして、契約書等をしっかり読んでからハンコを押しましょう。
皆さん!
今回の事件を、“日本人の住宅感に対する警告(レッドカード)”だと受け止めましょう!
