第33回「景観の利益(その2)」

(H18.4.18)

京都市には、年間約5000万人の観光客がやってきます。皆さん京都に何を求めて、やって来られるのでしょうか?

日本では、バブル経済崩壊で、一時、海外旅行に出かける人が減少しました。
逆に、その時から増えはじめたのが、京都の入洛者でした。
「そうだ!京都へ行こう」、JRのCMの効果です。

京都では、市長を中心に、観光客の増加減少を手放しで喜んでいます。


さて、日本人の観光客は増えていますが、海外からの観光客は、中国、韓国など東アジアを中心とした、新規訪問者を除き、意外に増えていません。

何故でしょう?
物価が高くなったから?

それもありますが、まちの景観の崩壊が進み、「歴史が残る奇跡のまち」というイメージを裏切ることとなり、リピーターが減っているからなのだと、私は想像しています。

現に、「がっかりした」という外国人観光客の声は、決して少なくありません。
何故なら、日本人と観光の捉え方が違うのです。

東京人を中心に、日本国内の観光客は、京都の寺社仏閣とグルメが入洛の主な目的です。
したがって、町は知らないが、お寺と料亭の周辺が整備されていれば、それでよいのです。

しかし、ヨーロッパやアメリカなど、文化先進国からの訪問者は、京都の文化と町並みの美しさ、人々の所作や服装の艶やかさに感激し、自らはリピート訪問し、さらに知人に伝えてきました。

その昔ながらの京都ファンが、「もう二度と来たくない!」とがっかりして帰っていくのを、京都の人は、どこまで感じているのでしょうか。

日本の経済は、回復傾向にあると政府は行っていますが、実態は、数字だけの話で、長い目で見た場合、その人口構成から、いつまでも消費中心の経済国家でいるべきではないことは、良識ある皆さんは、お気づきのことと思います。

そんな21世紀の日本で、それぞれの地方自治体が、国の一律政策に依存せず、独自に社会政策をしていかなければなりませんが、京都は、まさしく真の意味での「観光都市」にならなくてはなりません。

一部の寺社仏閣とホテル、料亭、お土産店だけが利益を得る経済構造ではなく、市民全員がホストとなり、町全体が、観光の目的地にならなくては、その「観光都市」の要件は満たせません。

ヨーロッパの町並みを是非、見直してください。
観光スポットとしての名所は、京都の数分の1ですが、町並みや、町に暮らす人々の生活の様子そのものが、観光の目的になっている町がたくさんあります。
勿論、その背景には、歴史と文化の伝承がありますが、たとえその国家が経済的に苦しくても、その町は、観光という普遍の産業で、生きてゆけるのです。

そのためには、市民一人ひとりが、建築物を新・改築する際、ルールを持って、守っていかなければならない「景観」が必要なのです。

いま、京都は、一部の観光地区の整備の反面、市中の建築物は、無造作に入れ替わっています。

京都の町中に、ピンクやイエローのテーマパークのような外観のミニ戸建てや、東京の郊外と同じデザインの外観の大手ハウスメーカーの住宅、そして、どこの町でも美観を崩しているデザイン性のないビルが急増しています。

今現在は、入洛者の新記録を更新中ですが、旅行者もレベルが上がって、視点が欧米ののお客様と同じ視点になったとき、このままでは、京都は、見捨てられる時が必ずやってくるでしょう。

今こそ京都のそれぞれの地域で、建築物のルールを市民が考えて作り、それをもう一度子孫に伝承していく運動を再開しなければ、このまちは、あと10年も放置すれば、京都でなくなってしまいます。

(ここからは、4月20日に書いたものです)

このブログを書いた翌日、京都市長が、同趣旨の方針を打ち出してくれました。
ほぼ希望通りの内容で、画期的な英断です!!
やはり、国立市の最高裁の判例が、後押ししてくれたものと思われます。

以下、京都新聞の記事を貼り付けます。

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 魅力ある古都の歴史的景観を保全するため、桝本頼兼京都市長は19日の定例会見で、2007年度から市街化区域全域で、建物の高さ規制を見直すことを明らかにした。

 市都心部の幹線道路沿いの「田の字地区」では最高45メートルを31メートルに、それ以外の「職住共存地区」では同31メートルを15メートルにそれぞれ引き下げる。商業地域を含んだ広範な区域に高さ規制を導入するのは、全国初の試みという。

 「田の字」「職住」地区の引き下げでは、上限を「京町家に調和するぎりぎりの高さ」(市都市景観部)とした。中心部以外の市街化区域でも、幹線道路沿いの建築物の最高限度を引き下げる方針。本年度中に都市計画決定を行い、07年度中に規制を開始する。

 ただ、公共性が高い建築物などに限り、良好なデザインを条件に、最高限度の超過を許可する制度も導入する。

 また、ビルなど中高層建築物の外観を、京町家などの歴史的建築物と調和させるため、意匠の基準「新・京(みやこ)デザイン」を、全国からアイデアを募集して定める。

 一方、高さや形状などによって5段階に分けられている現在の美観地区の種別規制を見直し、「岡崎の琵琶湖疏水周辺」「祇園町」など、地域ごとの景観特性に合った「地区別」の規制に転換する。いずれも本年度中に具体案をまとめる。

 桝本市長は「建て替え時に容積率などが制限されるため、反対意見も出てくるだろう。しかし、景観づくりの取り組みは古都の魅力を高め、中長期的には資産価値も高まる。50年後、100年後の京都にとって意義ある施策だ」と述べた。

 京都市内では、JR京都駅ビルなど大規模な建築物の計画が持ち上がるたびに、高さなどをめぐって景観論争が起きた。市は、昨年7月に「時を超え光り輝く京都の景観づくり審議会」を設置して、景観保全策を検討。今回の規制方針は先月に審議会が提出した中間報告を施策化するため、打ち出した。
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