第34回「拝啓、桝本京都市長どの」
(H18.4.29)
前回、ご紹介したように、京都市では、市長が「新たな景観施策の提案」を発表され、画期的なまちづくり計画が持ち上がっています。
京都の桝本市長は、市長になられて10年目を迎え、ますます積極的に政策を打ち出されています。
特にさすが教育者出身だけあって、教育機関の改革は、目を見張るものがありました。
御所南小学校のモデル改革から、公立高校の改革、西京高校と洛北高校の中高一環一環統合、御池中学校の福祉施設とのドッキングモデル、そして、下京中学校の計画・・・などなど、枚挙にいとみません。
しかし、結局は、そのモデル校だけが利益を受け、その通学区の土地は上がり、中高一貫校に入るため、小学校から受験戦争が激化しました。
落ち込んだ公立学校のレベルを上げて、公立学校から優秀な大学に進学できる戸を増やし、京都を活性化させるというお気持ちと、間接的にお聞きしております。
北欧の国フィンランドでも、教育改革と都市計画は、国家を挙げて進めています。
原因は、日本と同じ、長寿少子化国家として生き残っていくためです。
彼らがやったことは、まず教育改革では、一部のエリートを作り上げてその者達に牽引させるのではなく、一人でもおちこぼれを出さないよう、ボトムアップを目的としました。
各学校で落ちこぼれ専門の指導者を配置し、毎日補講を行い、中学3年終了時に、留年制度を設けました。
日本では、恥ずかしい処遇ですが、フィンランドでは、誰もそのような子供たちを軽蔑しませんから、少しでも習得度合いに不安を持つ子供は、進んで参加します。
親も歓迎して子供に参加を促します。
日本と違うところは、その一方で、エリート校を作らないということなのです。
だから、「格差」が起こらないのです。
10年以上前からはじめたこの取り組みの結果、今やフィンランドは、日本を抜いて子供の学力世界一になり、その成果として、経済面でも世界のIT国家として、安定した経済成長を遂げています。
一方の都市計画においても、高齢者が孤立しない住環境システムの実現を掲げ、早くから国家を挙げて取り組んでいます。
その際、「この土地は、ご先祖様からあずかっら大切な土地だから、他人の指図は受けない!」なんていう愚かな国民は少なく、皆、「土地は国民の共有財産である」という観点から、都市計画、まちづくりのために協力しています。
さて、ここまでは、京都市の今回の施策も同じだ、と思われるかもしれませんが、「市長、まちづくりにモデル地区を指定するのは、よくありません!」
今回のプランは、高さ制限だけでなく、それぞれの町並み造りを、町衆の力で創作しようというものです。
そのためには、京都市全域が対象となり、市民全員が参加しなければ、意味がありません。
逆に言えば、「モデル地区以外は、景観を考えなくてもいいんだ」と、乱開発という誤解現象が生まれたり、モデル地区の価値が高まり、地上げが加速するという逆効果に繋がりかねません!
教育施設など、工作物を作るという事業は、予算があり、どうしても一部からはじめるということはありますが、まちづくりは、「ものづくり」ではありません。
「市民の誇りづくり」の結果、観光都市としての町並みが自然に出来上がるのです。
是非、ご自分の残り任期期間のことなどは考えず、もっと大きなレベルの高い視点で今回の施策を再考していただきたいと思います。
京都市民から、「また格差を作るのか!」という叫びがあることを知ってください。
かつての京都市の同和政策は、「努力しても報われない子供たちをなくそう」というボトムアップの精神から始まりました。
トップレベルをつくり、牽引させるという考えが、いかに逆効果かは、フィンランドの例からも明らかです。
