第4回:酒は百薬の長
H17.9.12.
多忙と怠け癖のため、長らくお休みしていましたが、改めて、再開いたします。
再開にあたり、「私の住まい遍歴」はしばらく中断させていただき
税や相続に関する「うんちく」をお話いたします。
なお、再開後10回分程度は、過去に他の雑誌や、機関紙(誌)に掲載した文章を、一部手直しして掲載します。
先ず初めに「酒は百薬の長」
再開にあたり、「私の住まい遍歴」はしばらく中断させていただき
税や相続に関する「うんちく」をお話いたします。
なお、再開後10回分程度は、過去に他の雑誌や、機関紙(誌)に掲載した文章を、一部手直しして掲載します。
先ず初めに「酒は百薬の長」
ビールでのどを潤した猛暑の夏が、9月半ばというのにまだ続いておりますが、
もうすぐ、日本酒がおいしい季節となってきます。
しかしながら、お酒好きの人にとって恨めしいのが酒税です。ジョッキに注がれたビールを眺め、ビールの代金の3分の1が泡代、3分の1が税金、3分の1が本来のビール代と嘆くことになります。
もちろん、お酒を飲まなければ、税金を負担することはありませんが、酒飲みは「酒は百薬の長」と、自分で自分を慰めています。
しかし、この「酒は百薬の長」こそ、酒税の起源といえるのです。
もうすぐ、日本酒がおいしい季節となってきます。
しかしながら、お酒好きの人にとって恨めしいのが酒税です。ジョッキに注がれたビールを眺め、ビールの代金の3分の1が泡代、3分の1が税金、3分の1が本来のビール代と嘆くことになります。
もちろん、お酒を飲まなければ、税金を負担することはありませんが、酒飲みは「酒は百薬の長」と、自分で自分を慰めています。
しかし、この「酒は百薬の長」こそ、酒税の起源といえるのです。
…それ、塩は食肴の将、酒は百薬の長、嘉会の好、鉄は田農の本
この文章は、前漢を簒奪した王莽が、塩、酒、鉄を専売制にした時の、専売実施の詔書のなかに記載されています。
王莽という人は、正式に皇帝となったのが西暦9年ですから、キリストと同時代の人です。中国4千年の歴史の中の多くの悪人のうちでも、ワースト3に挙げられる悪人とされていますが、本人はいたってまじめな儒教の信奉者でした。
王莽という人は、正式に皇帝となったのが西暦9年ですから、キリストと同時代の人です。中国4千年の歴史の中の多くの悪人のうちでも、ワースト3に挙げられる悪人とされていますが、本人はいたってまじめな儒教の信奉者でした。
専売にする(=税金をかける)にしても、皇帝なのですから、一方的に専売にすればいいところを、それらしい言い訳をするところが、まじめな儒教徒たるゆえんです。
しかも、塩と鉄の言い訳はひとつですが、酒については、多くの薬の中でも最も優れた薬、という理由と、めでたい会に似合うもの、という二つの理由をつけています。
二千年後の今日でも、酒税が国税のかなりのシェアを占めているのは、王莽の詔書の二つの理由の呪縛かもしれません。
しかも、塩と鉄の言い訳はひとつですが、酒については、多くの薬の中でも最も優れた薬、という理由と、めでたい会に似合うもの、という二つの理由をつけています。
二千年後の今日でも、酒税が国税のかなりのシェアを占めているのは、王莽の詔書の二つの理由の呪縛かもしれません。
税額の大きさでいえば、酒税は十数年前まで所得税、法人税に次ぐ第3番目の国税でした(現在の第3番目は消費税)。
十数年前に、酒税の税額と相続税の税額が逆転しましたが、その逆転には、イギリスのサッチャー首相が大きく関わっていました。
十数年前に、酒税の税額と相続税の税額が逆転しましたが、その逆転には、イギリスのサッチャー首相が大きく関わっていました。
十数年前まで日本酒とウイスキーに特級、一級、二級の区分があったことは、愛飲家はご記憶のことと思います。
等級の区分は酒税法によって定められており、日本酒については、国税の官能検査により優良と認められたものが特級、佳良と認められたものが一級、それ以外が二級でした。
要するに、飲んでみてうまい酒が特級、まずまずのものが一級、それ以外が二級ということです。ただし、検査を受けないものは全て二級でしたから、美味しくて安い(税金が少ない)地酒(二級酒)を見つけることが、日本酒党のひそかな喜びでもありました。
等級の区分は酒税法によって定められており、日本酒については、国税の官能検査により優良と認められたものが特級、佳良と認められたものが一級、それ以外が二級でした。
要するに、飲んでみてうまい酒が特級、まずまずのものが一級、それ以外が二級ということです。ただし、検査を受けないものは全て二級でしたから、美味しくて安い(税金が少ない)地酒(二級酒)を見つけることが、日本酒党のひそかな喜びでもありました。
では、ウイスキーの等級の区分はどうだったかというと、原酒(モルト)の含まれる割合で等級が区分されていました。
原酒33%以上が特級(非常に高い税率)、原酒23%以上が一級(高い税率)、それ未満が二級(ほどほどの税率)でした。
不確かな記憶ではオールド(特級)で原酒の割合が40%ぐらいだったと思います。
原酒33%以上が特級(非常に高い税率)、原酒23%以上が一級(高い税率)、それ未満が二級(ほどほどの税率)でした。
不確かな記憶ではオールド(特級)で原酒の割合が40%ぐらいだったと思います。
日本との貿易摩擦を解消するために来日したサッチャー首相は、イギリスの安価な大衆向けのウイスキーの日本への輸出を図りましたが、どんなに安いウイスキーでも日本に輸出すると、全て特級酒となり高額の税金のためとても大衆向けとはなりません。
実は、イギリスでは原酒100%以外はウイスキーと認めず、原酒100%でないウイスキーはイギリスには存在しないからです。
本物のウイスキーに高額の税率をかけ、偽物のウイスキーもどきを保護していると、サッチャー首相は激怒したわけです。
実は、イギリスでは原酒100%以外はウイスキーと認めず、原酒100%でないウイスキーはイギリスには存在しないからです。
本物のウイスキーに高額の税率をかけ、偽物のウイスキーもどきを保護していると、サッチャー首相は激怒したわけです。
蒸留酒のことをスピリッツと呼びますが、スピリッツとは精神、あるいは、妖精という意味を兼ね備えた言葉です。
貿易摩擦が、文化摩擦に発展しそうになり、このことをきっかけとして、ウイスキーと日本酒の等級制度が廃止され、その結果、酒税の税額が減少し、バブルで急増していた相続税と、国税の第3番目に地位が逆転しました。
貿易摩擦が、文化摩擦に発展しそうになり、このことをきっかけとして、ウイスキーと日本酒の等級制度が廃止され、その結果、酒税の税額が減少し、バブルで急増していた相続税と、国税の第3番目に地位が逆転しました。
酒造りは、それぞれの民族の固有の文化・精神です。
現在、税額の安い発泡酒がビールの代替酒として人気がありますが、まがい物の税率を安くし、保護するということは、文化をないがしろにする嘆かわしいことであると思います。
本物を大切にする社会、税制になって欲しいものです。
現在、税額の安い発泡酒がビールの代替酒として人気がありますが、まがい物の税率を安くし、保護するということは、文化をないがしろにする嘆かわしいことであると思います。
本物を大切にする社会、税制になって欲しいものです。
もっとも、日本のビールの大半は、麦芽以外にコーンスターチ等の原料を含んでいます。したがって、麦芽100%以外はビールと認めないドイツの基準では、日本のビールの大半は、ビールに該当しないことになります。
