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| よい住宅地とは何か 〜管理から自治へ〜 |
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住宅ねっと相談室カウンセラー 住宅生産振興財団専務理事 大川 陸 |
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住宅地の価格を調べると、当然ながら良い住宅地といわれているところは、それなりの価格形成をしている。 たとえば田園調布やビバリーヒルズといったスーパー高級住宅地がある。その特性は何か。まず立地が良い、日本では駅からの距離が歩けるということが大きな要素であるが、自動車社会のアメリカでは、高燥な土地、眺望の良さなどの価値が大きかろう。共通するのは、敷地規模が大きい、したがって緑が多い、また管理、つまり清掃や庭木の手入れが行き届いており、通過交通などに煩わされない、閑静なところということになろうか。 結果としてお金持ちの多いところが、環境も良いという、ある意味で当然のようでつまらない結論を導いては、市民社会の住宅地の計画屋としては情けないということでもある。 話しは少し大きくなるが、ハワードの「田園都市」以来20世紀が模索してきた住宅地のもっとも大きなテーマは“自動車との折り合い”ではなかったろうか。具体的には、通過交通の無い、つまり道路のグレーディングがきちんと設定されていること、そして住宅の前面の接道空間が如何に多目的な生活空間として利用できるか、というテーマである。 財団の取り組んできたボンエルフ、コモンはまさにこの路線であるが、かくされたテーマは“良きコミュニティ”である。 ここ数年来、アメリカにおいても「ニューアーバニズム」「ネオトラディショナリズム」と呼ばれる計画思想が取り沙汰されている。それは車依存からの脱却、コンパクトな開発、人間関係の復活などを標榜し、均質で画一的なこれまでの開発に批判を浴びせている。DPZによるケントランド、M・コルベットのビレッジ・ホームズ、P・カルソープのノースウェスト・ランディングなどが新しい潮流のプロジェクトとして我が国にも紹介されている。 ここに来てサスティナブル・コミュニティという言い方で環境面ばかりが取り上げられているが、本来はコミュニティの価値、人間関係の復活、地域の価値といった目に見えにくいソフトな部分の価値観を多く持った運動であると感じている。 さて、日本では住宅地の管理というと財産の義務的管理であり、うっとうしいものという印象があるが、アメリカなどの感覚でいうと、もともとハウスオーナーズ・アソシエイション(HOA)なる自治的な活動体が存在し、自分たちの居住地を管理、運営していると聞く。したがって芝生の管理というような物的管理のみならずスポーツや文化活動などのアクティビティも自治という活動の中で行われることが多いようである。 アメリカは西部劇に見るように、自分たちで教会を作り、保安官を任命してきた国である。そしてグリシャムの「評決のとき」などを読むと、そういうこころざしが現実に生きつづけている国でもある。我々も「管理」という言葉に自助自立、そして隣人との良い関係などの価値観を付け加えていく必要があるだろう。 出典:住宅生産振興財団発行「ボンエルフ」No.137より |
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