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お気楽インテリアのすすめ
〜生活を楽しむためのインテリア術〜

住宅ねっと相談室カウンセラー
一級建築士・インテリアコーディネーター
昭和女子大学講師
倉島 和弥


 週に半日授業をもたせていただいている大学では、他学科の授業を一般教養として履修できます。教えているのは生活文化学科という住居(建築)系の学科で、インテリア販売やインテリアコーディネートといったインテリアに興味がある学生向けの授業です。これまで(お世話になって6年間)他学科の学生が履修することはなかったのですが、昨年あたりから英米文学科や生活環境学科の学生が履修し始めてきたのです。制度として許されているわけだし広く興味を持つことはいいことだと軽く考えていたのですが、今年はもう少し人数が増え少々その理由が気になりだしました。文学系の学生にすれば、もう一つ実利的に興味のあることについて学んでみたいということなのでしょう。あわせて、最近のインテリア・雑貨ブームも影響しているのかもしれません。
 過去にもインテリアブームはありましたが、その実例紹介は、美しく洗練された空間であり、「あこがれ」的存在だったような気がします。最近は、年齢層も幅広く、若い人のローコストでありながらいかに自分の「趣味」を美しく表現するかというものから、熟年層の「生活(生き方)」の表現まで、テーマを明確にし実利的でありながら洗練されたものが多く見られます。
 「インテリア」というと少し堅苦しかったり、ハイソ?に感じられたり、普段の生活とは少し離れたところにあるように感じている人は少なくないでしょう。センスがないと言って構えてしまう人もいるかもしれません。「様式」として捉えるとルールがあって難しくなってしまいますし、インテリアデザインとして捉えるとセンスが要求されてしまいます。が、私たち日本人はもともと生活を豊かに感じるための工夫が上手です。借景にしろ水や風の音を楽しむ道具、季節ごとの行事としつらえ。これらは忙しい今の私たちの生活にもいかされているはずです。私たちは「インテリア」を構えて意識していなくても実はその中で日々の生活を送っているわけです。たとえば疲れて帰ってきたときの子供の楽しげな声や使い慣れた茶わんで温かいご飯を口にしたとき。せわしない街中でふっと漂うコーヒーの香り。入ってみれば懐かしい音楽。光の具合や窓からの景色、仕上素材の陰影や風合い、調度品や、そこにいる人、音や匂い。形式的なインテリアではなく雰囲気や自分自身の気持ちや目の前にある物や人との関係の中にインテリアを感じているのです。
 私たちは物や場との対話によってインテリアを感じているわけです。ならば積極的に対話をすることで自分を包む生活はもっと楽しくなるのではないでしょうか。子供が書いた落書きも切り取って額に入れたり、拾ってきた石ころを藍のコースターにのせてみたり。ちょっとした工夫でささいなものが生き生きとしてきます。マンションだからとあきらめることはありません。むしろいじりようのない構造体・仕上だからこそ工夫のしがいがあるのです。カーペットに信楽焼の一輪挿しはあわなくても、1枚板をしいてあげたり、木製のイスの座面を利用すれば立派な床の間(風)のスペースになったりします。洋風、和風という言葉に惑わされることもありません。思いも寄らない組み合わせは新鮮です。大好きな小物を山のように積み上げるのも面白いものです。1つや2つの小さな置物も50、100となると主張をしてくるから不思議です。
 物にこだわるのは文化的には幼稚だという話もありますが、物にまつわる記憶や思いが支えてくれることだってあるのです。日々の当たり前の生活の繰り返しの中にある細やかなインテリアとの触れ合いが心を豊にし、人を幸せにしてくれます。インテリアは構えて全体を創り上げるものではなく、生活を楽しむための工夫なのです。是非!是非!構えることなく身近なものを飾ることから挑戦してください。いつも新たな発見のある楽しい生活を送ってほしいと思います。
 さて、私を含め建築家はというと、たいていの場合、インテリアは意識していてもそれは空間構成の美しさを基準に考え、雑然とした生活は後回しにしているように思われます。基本的な構成がしっかりしていればそれだけで空間は美しいと考えているからです。従って増改築を含めた改装などにはあまり積極的でないかもしれません(最近は仕事が少なくなっているので建築家がリモデルを行うケースは増えていますが)。建築家自身、もう少しソフトにインテリアをとらえる視線が必要かもしれません。
 「空間の中のコーヒーカップ」と「コーヒーカップのある空間」。後者の視点でインテリアをとらえると生活感のあるインテリアが見えてくるように思えます。

付録:デザインのポイントをいくつか・・・

1:リピート

素材、色、形態の少なくとも一つを同じもので揃えていくとものがうまくまとまります。小物にしろ、壁に飾る絵にしろ、インテリア全体にしろ同じことです。ネクタイの選び方や化粧と服装の関係に似ています。

2:リズム

物を置いていくとき、同じ大きさの物をきれいに並べるのもよいのですが量の多いときに向いています。大小大小と並べたり小さな物のグループと大きな物を組み合わせていったり変化を付けると楽しくなります

3:領域

ただ漠然と飾るのではなく、台を設定したり、スポットライトで照らし出したり、領域を明確にしてあげると引き立ちます。壁に絵をかけるときも、位置(高さや幅)は重要です(床に無造作に置く方法も)高すぎず低すぎず、目の高さに。並べるときは中心か上部をきちんと揃えます

4:テーマ

さらにテーマを決めて飾れればいうことはありません。持っている物自体にテーマがある場合もあれば、持っている物はバラバラでも飾るときの工夫で、季節や記念日などテーマを演出することができます。




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