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平成13年8月1日施行
マンション管理適正化法とは?
〜住民の無関心が一番の問題!〜

住宅ねっと相談室カウンセラー
楠本 泰三


マンション人口1000万人時代

 現在、日本では約400万戸の分譲マンションに約1、000万人の人が暮しています。この数は、国民 12人に1人の割合で分譲マンションに暮していることになり、分譲マンションは今や重要な市民の住居形態の一つになってきました。同時に分譲マンションを取り巻くトラブルや社会的な問題が急増しています。

〔主なトラブルの一例〕
音の問題やペット問題などが原因による住民同士のトラブル
修繕計画の不備による資産価値低下の問題
建替えが必要な分譲マンションの増加
管理会社とのトラブルや監督機関の未整備
住民の無関心からくる管理組合の無機能と相談機関の未整備

などなど、まさに住宅ねっと相談室に入る相談内容そのものです。


マンション管理士の誕生、業者の登録制導入

 これまで分譲マンションに関しては、建物区分所有法がありましたが、既にこの法律だけでは対応できなくなったと判断した国土交通省は、昨年12月「マンションの管理の適正化に関する法律」(通称:マンション管理適正化法)を成立させました。扇大臣の一大仕事と言われているものです。 その中身の主な内容を簡単にご紹介すると、

1. 国土交通省は、この法律の指針を作成すること。
2. 国家資格としてのマンション管理士を誕生させ、業として管理組合(住民)の相談、指導、助言に当たらせる。
3. マンション管理会社を登録免許制にし、国土交通省が監督する。
4. 国家資格、マンション管理業務主任者を新設し、管理会社に1人以上の配置を義務付け、契約内容の説明並びに報告行為は、主任者資格を持った者しか出来ないようにする。
5. マンション分譲会社は、管理組合等に設計図書を交付することを義務とする。

などです。

 そこで国土交通省は、平成13年8月1日に『マンション管理適正化に関する指針』を公表したことを受け、この新法は平成13年8月1日施行されました。

 この指針の最大の特徴は、売主や管理業者ではなく、管理組合並びにその構成員である住民(区分所有者)に対し、強い要望を出していることにあります。

例えば、

住民は管理組合の運営に積極的に参加、協力すること。(まずは集会に出席すること)
管理組合の理事および住民は、マンション管理に対する知識を積極的に高め、管理業者にまかせっきりにしないこと。
管理組合の理事および住民は、建物の修繕管理に対する知識を高めその維持に努めること。

など、お役所の出す指針には珍しく、かなりストレートな口調で住民(区分所有者・管理組合)に指導、要望しています。これは、マンションに関するトラブルの最大の問題点は、「住民の無関心にあり」ということを明確に訴えているものです。

「自分達の財産は、自分達で守れ!そのために国はこの法律をもってバックアップする。」

 まさしくこれが、本法の制定主旨なのです。
もはやこの法律は、他人事ではありません。分譲マンションにお住まいの方、マンション購入を検討なさっている方は、
ぜひ、下記の「指針」の原文をお読みになることをお勧めします。

ご注意:この法律で言う「マンション」とは、分譲マンションのことであり、賃貸マンションは適用外ですのでご注意ください。


図:マンション管理適正化法


マンションの管理の適正化に関する指針

○国土交通省告示第千二百八十八号
マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成十二年法律第百四十九号)第三条に基づき、マンションの管理の適正化に関する指針を定めたので、同条の規定に基づき、公表する。
平成十三年八月一日
国土交通大臣林寛子
「マンションの管理の適正化に関する指針」
(前文)

 我が国におけるマンションは、土地利用の高度化の進展に伴い、職住近接という利便性や住空間の有効活用という機能性に対する積極的な評価、マンションの建設・購入に対する融資制度や税制の整備を背景に、都市部を中心に持家として定着し、重要な居住形態となっている。
その一方で、一つの建物を多くの人が区分して所有するマンションは、各区分所有者等の共同生活に対する意識の相違、多様な価値観を持った区分所有者間の意思決定の難しさ、利用形態の混在による権利・利用関係の複雑さ、建物構造上の技術的判断の難しさなど、建物を維持管理していく上で、多くの課題を有している。
 特に、今後、建築後相当の年数を経たマンションが、急激に増大していくものと見込まれることから、これらに対して適切な修繕がなされないままに放置されると、老朽化したマンションは、区分所有者自らの居住環境の低下のみならず、ひいては周辺の住環境や都市環境の低下など、深刻な問題を引き起こす可能性がある。
 このような状況の中で、我が国における国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与するためには、管理組合によるマンションの適正な管理が行われることが重要である。
この指針は、このような認識の下に、管理組合によるマンションの管理の適正化を推進するため、必要な事項を定めるものである。

一、マンションの管理の適正化の基本的方向

 マンションは、今や我が国における重要な居住形態となり、その適切な管理は、マンションの区分所有者等だけでなく、社会的にも要請されているところである。
 このようなマンションの重要性にかんがみ、マンションを社会的資産として、この資産価値をできる限り保全し、かつ、快適な居住環境が確保できるように、以下の点を踏まえつつ、マンションの管理を行うことを基本とするべきである。


マンションの管理の主体は、マンションの区分所有者等で構成される管理組合であり、管理組合は、マンションの区分所有者等の意見が十分に反映されるよう、また、長期的な見通しを持って、適正な運営を行うことが重要である。特に、その経理は、健全な会計を確保するよう、十分な配慮がなされる必要がある。また、第三者に管理事務を委託する場合は、その内容を十分に検討して契約を締結する必要がある。
管理組合を構成するマンションの区分所有者等は、管理組合の一員としての役割を十分認識して、管理組合の運営に関心を持ち、積極的に参加する等、その役割を適切に果たすよう努める必要がある。
マンションの管理は、専門的な知識を必要とすることが多いため、管理組合は、問題に応じ、マンション管理士等専門的知識を有する者の支援を得ながら主体性をもって適切な対応をするよう心がけることが重要である
マンションの管理の適正化を推進するため、国、地方公共団体及びマンション管理適正化推進センターは、その役割に応じ、必要な情報提供等を行うよう、支援体制を整備・強化することが必要である。

二、マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項

管理組合の運営
   管理組合の自立的な運営は、マンションの区分所有者等の全員が参加し、その意見を反映することにより成り立つものである。そのため、管理組合の運営は、情報の開示、運営の透明化等、開かれた民主的なものとする必要がある。また、集会は、管理組合の最高意思決定機関である。したがって、管理組合の管理者等は、その意思決定にあたっては、事前に必要な資料を整備し、集会において適切な判断が行われるよう配慮する必要がある。
 管理組合の管理者等は、マンション管理の目的が達成できるように、法令等を遵守し、マンションの区分所有者等のため、誠実にその職務を執行する必要がある。
管理規約
   管理規約は、マンション管理の最高自治規範であることから、その作成にあたっては、管理組合は、建物の区分所有等に関する法律に則り、「中高層共同住宅標準管理規約」を参考として、当該マンションの実態及びマンションの区分所有者等の意向を踏まえ、適切なものを作成し、必要に応じ、その改正を行うことが重要である。さらに、快適な居住環境を目指し、マンションの区分所有者等間のトラブルを未然に防止するために、使用細則等マンションの実態に即した具体的な住まい方のルールを定めておくことが肝要である。
 管理規約又は使用細則等に違反する行為があった場合、管理組合の管理者等は、その是正のため、必要な勧告、指示等を行うとともに、法令等に則り、その是正又は排除を求める措置をとることが重要である。
共用部分の範囲及び管理費用の明確化
   管理組合は、マンションの快適な居住環境を確保するため、あらかじめ、共用部分の範囲及び管理費用を明確にし、トラブルの未然防止を図ることが重要である。
 特に、
専有部分と共用部分の区分、専用使用部分と共用部分の管理及び駐車場の使用等に関してトラブルが生じることが多いことから、適正な利用と公平な負担が確保されるよう、各部分の範囲及びこれに対するマンションの区分所有者等の負担を明確に定めておくことが望ましい。
管理組合の経理
   管理組合がその機能を発揮するためには、その経済的基盤が確立されていることが重要である。このため、管理費及び特別修繕費等について必要な費用を徴収するとともに、これらの費目を明確に区分して経理を行い、適正に管理する必要がある。
 また、管理組合の管理者等は、必要な帳票類を作成してこれを保管するとともに、マンションの区分所有者等の請求があった時は、これを速やかに開示することにより、経理の透明性を確保する必要がある。
長期修繕計画の策定及び見直し等
   マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値の維持・向上を図るためには、適時適切な維持修繕を行うことが重要である。特に、経年による劣化に対応するため、あらかじめ長期修繕計画を策定し、必要な修繕積立金を積み立てておくことが必要である。
 長期修繕計画の策定及び見直しにあたっては、必要に応じ、マンション管理士等専門的知識を有する者の意見を求め、また、あらかじめ建物診断等を行って、その計画を適切なものとするよう配慮する必要がある。
 長期修繕計画の実効性を確保するためには、修繕内容、資金計画を適正かつ明確に定め、それらをマンションの区分所有者等に十分周知させることが必要である。
 管理組合は、維持修繕を円滑かつ適切に実施するため、設計に関する図書等を保管することが重要である。また、この図書等について、マンションの区分所有者等の求めに応じ、適時閲覧できるように配慮することが望ましい。
 なお、建築後相当の年数を経たマンションにおいては、長期修繕計画の検討を行う際には、必要に応じ、建替えについても視野に入れて検討することが望ましい。建替えの検討にあたっては、その過程をマンションの区分所有者等に周知させるなど透明性に配慮しつつ、各区分所有者等の意向を十分把握し、合意形成を図りながら進めることが必要である。
その他配慮すべき事項
   マンションが団地を構成する場合には、各棟固有の事情を踏まえながら、全棟の連携をとって、全体としての適切な管理がなされるように配慮することが重要である。
 また、複合用途型マンションにあっては、住宅部分と非住宅部分との利害の調整を図り、その管理、費用負担等について適切な配慮をすることが重要である。


三、マンションの管理の適正化の推進のためにマンションの区分所有者等が留意すべき基本的事項等

 マンションを購入しようとする者は、マンションの管理の重要性を十分認識し、売買契約だけでなく、管理規約、使用細則、管理委託契約、長期修繕計画等管理に関する事項に十分に留意する必要がある。
 また、マンションの区分所有者等は、マンションの居住形態が戸建てのものとは異なり、相隣関係等に配慮を要する住まい方であることを十分に認識し、その上で、マンションの快適かつ適正な利用と資産価値の維持を図るため、管理組合の一員として、進んで、集会その他の管理組合の管理運営に参加するとともに、定められた管理規約、集会の決議等を遵守する必要がある。そのためにも、マンションの区分所有者等は、マンションの管理に関する法律等に関する理解を深める必要がある。
 専有部分の賃借人等の占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、マンションの区分所有者等が管理規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負うことに十分に留意することが重要である。
 
四、マンションの管理の適正化の推進のための管理委託に関する基本的事項

 管理組合は、マンションの管理の主体は管理組合自身であることを認識したうえで、管理事務の全部又は一部を第三者に委託しようとする場合は、その委託内容を十分に検討し、書面をもって管理委託契約を締結することが重要である。
 なお、管理委託契約先を選定する場合には、管理組合の管理者等は、事前に必要な資料を収集し、マンションの区分所有者等にその情報を公開するとともに、マンション管理業者の行う説明会を活用し、適正な選定がなされるように努める必要がある。
 また、管理委託契約先が選定されたときは、管理組合の管理者等は、当該契約内容を周知するとともに、マンション管理業者の行う管理事務の報告等を活用し、管理事務の適正化が図られるよう努める必要がある。
 万一、マンション管理業者の業務に関して問題が生じた場合には、管理組合は、当該マンション管理業者にその解決を求めるとともに、必要に応じ、マンション管理業者の所属する団体にその解決を求める等の措置を講じることが必要である。

五、マンション管理士制度の普及と活用について

 マンションの管理は、専門的な知識を要する事項が多いため、国、地方公共団体及びマンション管理適正化推進センターは、マンション管理士制度が早期に定着し、広く利用されることとなるよう、その普及のために必要な啓発を行い、マンション管理士に関する情報提供に努める必要がある。
 なお、管理組合の管理者等は、マンションの管理の適正化を図るため、必要に応じ、マンション管理士等専門的知識を有する者の知見の活用を考慮することが重要である。

六、国・地方公共団体及びマンション管理適正化推進センターの支援

 マンションの管理の適正化を推進するためには、「中高層共同住宅標準管理規約」をはじめ必要な情報・資料の提供、技術的支援等が不可欠である
 このため、国及び地方公共団体は、必要に応じ、マンションの実態の調査及び把握に努め、マンションに関する情報・資料の提供について、その充実を図るとともに、特に、地方公共団体、マンション管理適正化推進センター、マンション管理士等の関係者が相互に連携をとり、管理組合の管理者等の相談に応じられるネットワークの整備が重要である。
 さらに、地方公共団体は、マンション管理士等専門的知識を有する者や経験豊かで地元の実情に精通し、マンションの区分所有者等から信頼される者等の協力を得て、マンションに係る相談体制の充実を図るよう努める必要がある。
 マンション管理適正化推進センターにおいては、関係機関及び関係団体との連携を密にし、管理組合の管理者等に対する積極的な情報・資料の提供を行う等、管理適正化業務を適正かつ確実に実施する必要がある。

 尚、「マンション管理適正化法」の条文をご覧になりたい方は、こちらの国土交通省のホームページをクリックして下さい。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/
mankan05.pdf

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